向井は高田とは逆にとても厳しい環境の中で『家族って何なの?親子って何なの?』という反発心の中にいた。だから小さい頃から妙な自立心を持っていた。いわば閉ざされていたのだが、病気があったことで親に感謝できるようになった。向井は「やっと母と娘、女性同士として話ができるようになりました」と振り返る。
それまでは親に甘えるというのが分からなかったという向井。スキンシップのない家で、甘えたくても甘えさせてもらえないということもあったようだ。表に愛情を出さない親だったようで、それが小さい子供には理解できなかったという。それゆえ、親に自分のことを打ち明けられなくて、自分が子宮がんになったときもどう言っていいか悩んだという。
入院当時、親にもつらく当たっていたが、痛み止めを打ってかゆくなった体をずっとさすってもらい、一生分のスキンシップをしてもらった気持ちになったとか。
江原は言う、「初めて努力だけではどうにもならない世界にぶち当たった。子供のこと、赤ちゃんのことも。それは努力だけではどうにもならないこともあることを学んだという。全てはコーディネートされていて、至れり尽くせりなんです」
向井と高田にとっては、今度は家族とか子供とか愛情をちゃんと確認しましょうという役割を含めて来ているから、逆に言うと楽チンはない。勉強しに来ているというのが強い。その分得られることはいっぱいある。
前世はともかく、現実としてこの日本において家族や子供とは何かということを定義した、問題提起したということは事実。実際、向井は子供の出生届は認められなかったが、現状にあった法律の整備が必要だという議論も高まり、向井の問題提起は決してムダではなかったといえる。
代理出産を巡り、さまざまな批判を受けたという向井。江原によれば、気の毒な部分もあるという。向井はいわば代理出産に関する代表者になってしまい、「有名人でお金があるから出来るんだ」などの批判を一身に受けてしまうことになった。でもそれも美輪の正負の法則(何かを得れば何かを失う)からすれば、みんなある種の学びで、そういうことに心を痛めるより愛情を込めて子育てをすればいい。
向井は有名な弁護士から「あなたのお子さんは必ず差別を受けますよ。だから代理出産はダメなんです。この国の法律に適ってないんです」と言われて、本当に落ち込んだという。これに対し美輪は「代理出産の子だから差別されるのではなく、自分と違う存在を認めない独善的な心が差別を生むと指摘。自らも同性愛者として数々の差別と戦ってきた美輪がここで言いたかったことは、向井の今後の問題だった。
次回は双子が生まれた理由について。
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